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樹状細胞から抗原提示を受けたヘルパーT細胞は、抗原提示の刺激によって活性化し、サイトカインの一種であるインターロイキン2(IL‐2)を盛んに分泌するようになります。
IL-2は、キラーT細胞を目覚めさせる刺激剤のようなものですから、これによってキラーT細胞はいっきに数を増し、また活性度を高め、がんを攻撃する精鋭部隊としての本領を発揮することになります。
「(キラーT細胞が)活性化するとはどういうことか」と患者さんに尋ねられることが多いのですが、わかりやすくいうと、休んでいる兵隊を武装して闘えるようにするのが活性化の意味です。
活性化に際しては、通常、増殖も一緒におこなわれます。
1個の細胞の力を強化しても、大勢のがん細胞には太刀打ちできませんから、自己複製してどんどん数をふやさなければならないのです。
活性化したキラーT細胞は、がん細胞を殺す武器としてパーフォリンや腫傷壊死因子(TNF)、リンフォトキシンを盛んに分泌するようになります。
パーフォリンとは、タンパク質からできた免疫システムのみに注目していると、がん細胞は単に攻撃を受け排除されるだけの対象にしか見えません。
しかし、がん細胞の側に目を転じれば、みずからも増殖して生き抜くためにいろいろな抵抗を試みていることがわかります。
免疫細胞と同様、がん細胞も巧みなやり口で相毒素のことですが、その名前は「穴を開ける」という意味の英語に由来しています。
キラーT細胞は、食細胞のように自身の中にがん細胞をとりこむのではなく、パーフォリンを使ってがんの細胞膜に穴を開け、アポトーシス(自殺)に追い込むのです。
腫傷壊死因子やリンフォトキシンも直接、がん細胞に作用して、アポトーシスや壊死にいた顕微鏡で見ると、ふだんは球状のなめらかな形をしたキラーT細胞が、活性化されることによって、まるで触手を伸ばして動きまわるアメーバーのような姿に形を変え、果敢にがん細胞に立ち向かっていく様子が見てとれます。
そこまで活性化するには、抗原ペプチドやIL-2による刺激だけでは不十分で、他のルートからのさまざまな補助刺激などが必要になります。
がん細胞を抑え込むあるいは、本来なら敵であるはずのマクロファージを自分の支配下におき、生体の調節因子であるプロスタグランジンE2(PGE2)の分泌を誘導させて、やはりT細胞の活性を抑制するケースも見られます。
こうしたがん細胞による免疫抑制が、どのようなしくみで起こっているのか、まだよくわかっていません。
他にも似たような現象が起きていると考えられ、学問的にもひじょうに高い関心がはらわれています。
現在明らかになっていることで、がんの免疫抑制について説明するとすれば、インターロイです。
手の働きを抑制しようとしているのです。
たとえば、ある種のがん細胞はティージーエフ‐ベータ(TGF‐β)という因子を産生しています。
この物質は、細胞性免疫を抑制する因子として代表的なものです。
TGF‐βを産生するがん細胞はまれにしかありませんが、ひじょうに悪性度が高く、患者さんの病態をいっきに悪化させるような場合があります。
また、がん細胞の中には、T細胞アナジーといって自分を認識するT細胞だけを麻揮させ、その反応を起こしにくくする働きをそなえる場合もあります。
他の病原菌などに働く免疫細胞はまったく別状がないのに、がん細胞に対するT細胞の免疫反応だけが阻害されてしまうので<ヘルパーT細胞1型と2型の働きの存在があげられます。
前項では、ヘルパーT細胞が、インターロイキン2を分泌してキラーT細胞の活性化に寄与しているといいましたが、一方でヘルパーT細胞は、インターロイキン4を分泌してB細胞の活性化を助ける働きをしています。
ヘルパーT細胞には2種類あり、インターロイキン2を分泌するタイプを1型(Thl)、インターロイキン4を分泌するのは2型(Th2)とよばれています。
2型のヘルパーT細胞が分泌するインターロイキン4は、B細胞の働きを促進しますが、逆にキラーT細胞に対しては抑制的に作用します。
したがって、仮に2型のヘルパーT細胞の働きが異常に高まるようなことがあれば、自己抗体といわれる異常抗体がB細胞でたくさんつくられ、アレルギーや鯵原病など、自己免疫疾患といわれる病状が起きやすくなります。
それと同時に、キラーT細胞が抑えられ、がんに対する免疫がん細胞を抑え込む力も低下してしまうのです。
この意味からは、がんと自己免疫疾患は同じ免疫異常をきたしていると考えられます。
がんにしても自己免疫疾患にしても、1型より2型の働きが高まってバランスが崩れていることに原因があります。
がんに対する多くの免疫療法は、1型を高めることを目的にしたものですが、治療の過程で慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患が改善されたという声をよく耳にします。
2型に傾いた状態を、1型を強めることによってバランスのとれた状態にもどすのですから、こうした症例が出てきても、なんら不思議なことではありません。
1型(Thl)、2型(Th2)のヘルパーT細胞と、それらが分泌するインターロイキン2、インターロイキン4のお話をしました。
もう少し話をすすめさせていただくと、元は同じヘルパーT細胞を1型(Thl)と2型(Th2)に変化させるのは、それぞれインターロイキン血とインターロイキン加の働きによります。
話がいささか遠まわしになってしまいましたが、じっはがん細胞もインターロイキンVなどを産生して2型ヘルパーT細胞を誘導し、最終的にはキラーT細胞の活性を抑制するようなことをおこなっているのです。
以前、どのようなサイトカインががん細胞の発生に関与しているのかを調べたことがありますが、ほとんどのがん細胞がつくっているのが、インターロイキン6や皿であることがわかり残念ながら、副作用が強すぎて、その後あまり顧みられていませんが、とにもかくにも、がんが巧妙な手口で免疫反応を抑制しているのだとすれば、これを人為的に解除する方法を編み出していくほかありません。
キラーT細胞の免疫応答性を高め、しかもそれが副作用のないものであることが、今後のがん対策のカギとなるに違いないのです。
がん細胞はひじょうに賢く、けっして自分が不利になるインターロイキン2などのサイトカインを産生しているものはありませんでした。
5年ほど前、インターロイキンuを使った免疫療法が脚光を浴びたことがあります。
インターロイキンuは、がんやエイズ、自己免疫疾患に対する効果が期待され、臨床試験にも応用されました。
免疫抑制に関して、もう一つ言及しておきたいのがストレスの免疫系にもたらす影響です。
蔽昔から、配偶者を亡くした方の5年以内のがん発生率が高い、受験前の学生の免疫力(NK細餓胞の活性)が下がるといった調査結果はよく知られていました。
最近では逆に、コントや落語で大笑いすると免疫力が上がるといったデータが注目されるようになっています。
ストレスがかかるか解消されるかで、体に微妙な変化が表れることは誰もが薄々感じていたことだと思います。
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